東京・多摩西部を走るJR青梅線の始発駅立川から二駅め、〈東中神駅〉は、赤い屋根の小さな駅舎がシンボルです。多くの駅が近代的な駅に建替えられていますが、こんな昔ながらの駅舎が残っているのは、立川~青梅間では東中神駅だけになってしまいました。
改札を通ると、ホーム(下り)に直結する作りで、昔の駅にはこんな感じのところが多かったと思います。
跨線橋を上って、三角屋根を見降ろしてみました。シンプルな切妻屋根です。この赤い屋根が街のアクセントにもなっていたと思います。
この、雰囲気の良い駅舎が建替えられることになりました。ずいぶんと近代的な橋上駅に生まれ変わる予定です。
建替えは、東中神駅北側に広がる国有地の再開発と連動するものです。
米軍立川基地跡地は、昭和記念公園や自衛隊駐屯地、行政庁が並ぶエリア、商業エリアなどに代わってきましたが、今回の再開発エリアは、返還後40年くらい手つかずの土地だったところです。
そこに国際法務総合センターを中心とした施設ができる予定です。公的な施設だけでなく民間利用の土地も計画されており、大規模な再開発になります。その玄関口になる東中神駅は、現在の設備では心細かったのでしょう。
下りホームから上りホーム方向を撮ってみました。木製の長いベンチがあり、屋根を支える柱や梁も木製です。
前夜から青梅駅に留置されていた〈青梅ライナー〉用の列車が回送でやってきました。地方の駅のような風情です。
東中神駅らしい構図で撮ってみました。駅南側には団地が広がっています。昭和40年代に建てられた団地は、当時のこの辺りでは高層建築物でした。
これから多くの人が利用することになる駅ですから、建替えも当然だし、便利で綺麗な駅になるのだから良いことなんでしょうが、目に馴染んだ昭和の風景がまた一つ減ってしまい、ちょっと寂しい気もします。